創作とコラムを発信するブログ
そこでは、出来立てのお餅を子どもたち臼と杵で付くことで自分のお餅を作ってみて、自分でついたお餅をみんなで食べることができる会です。
大人たちもたくさん集まって子どもたちにお餅をいろいろな味に味付けして振る舞っていました。とても寒い日に食べるつきたてのお餅は今でも口の中で溶けるようにほっこりさせられる味をしていたのを思い出します。
そのイベントでは、お米やきな粉など、食品を提供してくれていた提供者さんのお話を聞くイベントも開催されていました。
そこで提供して下さっていた農家の方の考え方が今でも僕の心の中に残るほど素敵な言葉だったので共有できたらなと思いました。
その方は、オーガニックの野菜やお米を作っていらっしゃる農家の方でした。オーガニックとはざっくり以下の特徴があります。
*作物につく害虫を寄せ付けないために使う農薬は一切、使用せず手作業で
虫を除去するなどして手間隙かけて作られる。
*有機栽培と同じ意味
*化学肥料を使うことなく、太陽やその土地にある土、水、微生物などを
生かして加えることなく、その風土のみで作物を育てたもの。
*「オーガニック =危害リスクがない」わけではないが、より安全性が高
く、化学物質によるリスクの少ないもの。
その特徴をまとめて言うと、「自然と人間のバランスを考えてお互いにリスクのない農作物生産をすること」をオーガニック栽培と捉えていいのかなと僕は思います。
そのオーガニックを使って野菜やお米を生産している農家の方が言った言葉の中で、特に印象ぶかかった言葉があります。うろ覚えではありますが、次に書いていきます。
突然ですが、みなさんはお元気ですか?
元気であれば良いのですが、このページを見に来た方はきっと何かしら心が沈んでいるのかもしれません。人生の中で落ち込んだり、悩んだりしたことがある方がほとんどだと思います。逆に悩んだことや落ちこんだことのない人などいないのではないでしょうか。
そんな時、気持ちを励ましてくれるのが音楽ですよね。
僕がそのような気持ちになった時によく聴くのが、青森県出身のロックバンド、amazarashiです。
amazarashiというロックバンドを聞いたことはあるでしょうか?
このバンドはかなり暗いテーマを扱うことが多いバンドであり、またロックと言っても独特な詩を朗読するかのような曲の世界観を持つバンドです。
その独特な楽曲は詩人を思わせるような言葉の数々、何か心の奥底に訴えかけるような楽曲が多いのが特徴だと思います。
そんなamazarashiの素敵な曲を今回、10曲紹介させていただきます。
まずはamazarashiのバンドからご紹介しますね。
・青森県出身でギターとボーカル・作詞作曲を担当する秋田ひろむさんと、キーボードやコーラスを担当する豊川真奈美さんの二人組ロックバンドです。
・結成当初は、「STAR ISSUE」「希望の光のような歌を、雑誌や新聞のように定期的に発
信していきたい」という名で活動していましたが、すぐに「amazarashi」という名前に変更します。「amazarashi」の意味は、「日常に降りかかる悲しみや苦しみを雨に例え、僕らは雨曝しだが、それでも…というところを歌いたい」です。
秋田ひろむさんの心境の変化がすごく気になります。
・2010年、「爆弾の作り方」でメジャーデビュー!!
爆弾の作り方という奇抜な曲名と何者かになれない自分がいつか何者かになってやるとい う信念を歌った曲が心に刺さる一曲です。
・ライブでは顔出しは一切NG!
秋田さん自身が、人付き合いが苦手であることや歌詞、曲の世界観を重視して聞いてもらいたいという考えを込めてライブ中は暗がりのカーテンの向こうから音楽を奏でます。しかし、カーテンをスクリーンとしてそこから演奏される音楽、そしてメッセージ性の強いステージは観客を魅了します。
それでは、僕が好きなamazarashiが歌う強いメッセージのあるおすすめの曲たちを紹介していきます。
東京喰種(トーキョーグール)というアニメの主題歌の曲です。
PVはレーザーで文字に象った肉をお姉さんがどんどんと食べていきます。
「生」と「死」をイメージさせるようなメッセージ性のあるPVと時を駆け抜けていくアップテンポのメロディに心を打たれます。
あなたにもこんな気持ちになる人が誰かいるだろうか?
会うだけで胸が高鳴るようなそんな人が。
登校時間より一時間は早く着く電車に私は毎回、乗っている。
特段、早起きが得意なわけではない。
実際は一日中、欠伸が止まらない日もしばしばだ。
それでも私は少し早く学校に行きたい理由があった。
いつも通りに朝早い電車に乗り込んだ私は、電車の進行方向に横長に伸びる席の隅っこに腰を下ろす。
すると、私に付いて隣に座る影があった。
「おはよ!」
「あ、おはよう」
同じクラスメイトの花織ちゃんだ。
「梨沙ちゃん、こんなに朝早くにどうしたの?」
「うーん、早く行った方が勉強が捗るかなって思って」
私の適当な嘘に、素直に納得した花織ちゃんははにかんだ笑顔で答えた。
「梨沙ちゃんって勉強熱心だね」
こういう明るくて純朴な性格の彼女だからこそ、入学当初、いち早く内気な私に声をかけてくれたのだ。彼女の天真爛漫さはまるで私にとって太陽だった。
「そんなことないよ……」
つい私は悪いことをしているようで、俯き加減で答える。そんな私の様子を気にして花織ちゃんは答えた。
「大丈夫?もしかしてどこか具合が悪いの?」
「全然」
首を振って彼女の心配を否定した時、次の駅に電車は着いた。開いた扉から数人の男子高校生が騒がしく入ってくる。
早朝の静けさを蹴散らすかのような笑い声だ。
私はその高校生の中に、彼の顔を見た。
その瞬間、目の瞳孔が自分でも驚くほど開いてしまうことを私は知っている。
心なしか胸の鼓動が高鳴るのを感じた。つい、私は胸に手を当てた。
その様子を隣で繁々と眺めていた花織ちゃんは、私をじっくり観察した後に不思議そうに聞いた。
「あの人が好きなの?」
私はさらに瞳孔を開いた。
「え!?いや、そんなこと……」
ガシャン
取り乱した拍子に膝に載せていた鞄を落としてしまった。その途端、彼は集団の中からいち早く私の元に来ると、鞄を軽々と拾い上げ、私の膝に載せ直した。
「気をつけなよ」
「あ、ありがとうございます」
笑顔を向けた後、去っていく彼の背中を二人で見つめた。
「いいなあ、素敵な人」
「花織ちゃんも彼氏いるじゃない?」
中学校から一緒の男の子らしいと他の友達から聞いた。花織ちゃんは少しはにかんで答えた。
「うーん、ずっと一緒の幼なじみで、向こうが私を好きになってくれたから付き合っている感じかな」
「えっと、それって……」
本当は好きではないってことなのかな。
「いや、好きだよ。でも、憧れるって訳じゃなくてただなんとなく一緒にいていいかなって思ってるだけ」
花織ちゃんは私の心が読めるのか?
大事な友達である花織ちゃんを見つめると花織ちゃんは言った。
「だって梨沙ちゃん、なんとなく思っていることがわかっちゃうんだもん!」
「そ、そんなにわかりやすい!?」
私は自分を指差して驚いた声で言うと、花織ちゃんはこくりと頷いた。そんなにわかりやすいのかな。素直な自分がどこかバカバカしくなる。
「でも、それが梨沙ちゃんの良いところだから。だからさ、先輩に連絡先聞いてきたら?」
花織ちゃんの声にどきりとする。
「え?へ?れ、連絡先!?」
「そうだよ。今、聞かなきゃ、いつ聞くの?」
「そ、そうだよね」
私は自身の憧れを叶えようと立ち上がった。隣の花織ちゃんは両手を握りしめて私の行く末を見守ってくれている。
私は彼の手が届く手前まで歩いていった。
「あの……先輩」
私の存在に気がついた先輩は振り返るとびっくりしたように私を見た。
「あの、先輩、さっきはありがとうございました」
「あ、さっきのことね!声をかけられると思ってなかったからびっくりした」
「先輩、良かったら……」
「え、和馬、その人誰?」
私は先輩の顔しか見れていなかったけれども、隣の車列から移動してきたらしい女子高生が私と先輩の横に立っていた。
「ああ、里帆か。今日はまた電車乗り過ごしたのかと思ってた」
「あ」
私は不意に声が出た。先輩は、彼女の可愛らしい手に触れて握りしめたからだ。
「あ、そういえば君なんだっけ?」
「いえ、別になんでもないです」
私は、頑張って笑顔を作ると、そのまま踵を返した。
電車の座席に戻ろうとする香織ちゃんの瞳が悲しそうに私を見ている。
私は静かに笑うと、涙がそっと頬を伝った。
叶わない恋はたくさんある。
それでもやっぱり私は憧れがいい。悲しかったけれどもそう思った。
私は香織ちゃんみたいに器用じゃないから。
「なんで、なんで切ってしまうんだよ」
少年は大声で叫んだ。
周囲の作業員のおじさんたちはチェーンソーで街路樹を切り倒そうとしているところに少年が飛び出してきたことで慌てて彼を制した。
「君、危ないから下がっていなさい」
「下がれるもんか。その樹は、 お爺ちゃんは、まだ生きているんだ!だからお願い、切らないでよ」
叫ぶ少年に対して作業員のおじさんたちは、笑うもの、気の毒そうに見るもの、反応はそれぞれだ。ただ共通しているのは、彼らが少年の言葉の一切を信じていないことだ。
「あはは、何を言っているんだ君は」
「お爺ちゃんは僕にいろいろなことを教えてくれるんだ」
「おじさん方を揶揄うのはそろそろやめにしなさい。よし、仕事を始めるぞ」
「や、やめてーー」
振り下ろしたチェーンソーの刃は、その後、あっさりと樹木を切り倒してしまった。
*
「う、うう、うううう」
「どうしたの、蓮くん? 」
赤いランドセルには不釣り合いなほど、身長がすらっと高い女の子が、切り株となった樹の下で泣いている少年に声をかけた。
「由紀ちゃん? 」
女の子は、蓮より2つ上のお姉さんだった。この間の行事遠足で、面倒を見てくれたことを気に仲良くなったのだ。
「どうしたの? そんなところで泣いて」
「え、えっとね……僕を励ましてくれるお爺ちゃんと待ち合わせていた樹が切られてしまったの、止めたんだけどね」
泣きながら話を終えた蓮くんに寄り添うように、由紀ちゃんは背中を撫でた。
「蓮くん、残念だったね。でもどうして樹を切られることを止めようとしたの?」
「それはお爺ちゃんがずっと僕を励ましてくれたからだよ」
蓮くんはさらにお爺ちゃんと出会ったことを話し始めた。
*
「うわああああん」
その日、泣きながら蓮くんは歩いていると急に声をかけられた。
「もう、うるさいなあ。なんだ小僧、ピーピーと泣きおって」
目の前には不意にシワだらけで茶色い衣を纏ったお爺ちゃんが座っていた。
頰はこけ、痩せ細っている。
蓮くんは咄嗟に声をかけられたことをびっくりして驚いた。
「小僧?僕のこと?」
「そのほかに誰がいるというんじゃ?それよりも小僧なんで泣いておるんじゃ?」
「掛け算がよく分からなくてずっと残って勉強していたんだけども、でも全然覚えられなくて……」
「なんじゃ?そんなことで泣いていたのか」
「そ、そんなことはないんじゃない、お爺ちゃん!!僕にとっては大事なことなんだ」
蓮くんは、理解してくれない老人を前にさらに絶望的な表情をする。老人はやれやれというと、蓮くんの頭に手を置いた。
「小僧、お前は良く頑張っておるじゃないか。悩むのも諦めるのも、自由じゃ。ただ一つ今出来ることに精一杯であれ」
蓮君は、老人の真っ直ぐな視線を見て、涙を拭った。
「精一杯に頑張ったって報われるわけないじゃないか! 」
「そうじゃ。報われるかどうかなんてわからん。ただ何かしなければ何も起こりはしない。そうではないか? 」
なおも老人は言った。老人は遠くを見て、蓮くんに語りかけるように話す。
「ワシはこの場所にずっと立っておる。ただ立つだけじゃが、鳥の巣を作る場所を与え、誰かの木陰になり、空気を作っておる。それがワシの正直にやりたいことだからじゃ。だから、小僧、どんなことでも己に正直にやればよいのじゃ。そうすれば何事も良くなっていく。そういうものじゃ」
「そっかあ。算数は嫌いだけど、でも覚えたら良いことがあるような気がする。だから頑張ってみようかな」
「そう素直に思ったならやってみなさい。ワシはあともう少しお前をみているから」
その言葉とともに一陣の風が吹いた。
砂埃が目に入りそうになった蓮くんは一瞬、目を閉じる。
すると、あとには目の前に苔の生えた立派な木と蓮くんだけが取り残されたのだ。
*
「多分、そのお爺ちゃんは樹の精だったのかもね」
由紀ちゃんは、蓮くんの頭を撫でると、その後に、樹がおじさんたちによって切られた後の切り株に触れた。
「蓮くんは、お爺ちゃんに何を伝えたかったの? 」
なおも半泣きの蓮くんに由紀ちゃんはふわりと尋ねた。
「お爺ちゃんのおかげで、クラスで一番になれたって伝えたくて」
蓮くんはまた涙を浮かべながら、ランドセルの蓋を開いて中からA4の賞状を取り出した。
「これを見せたかったんだ」
そこには、蓮くんの名前と九九の段が全て言えたという表彰状だった。
「おめでとう。蓮くん」
由紀ちゃんはそういうと、その時、また風が吹いた。二人を包むような優しい風だ。
「きっとお爺ちゃんはここにはいないけれど、ずっと蓮くんを見ているよ」
「そうだよね、きっと」
二人は、空を見上げた。二人には、青い空がまるで笑ったように見えたのは気のせいではないのかもしれない。